都会の待ち合わせの音はどんな音だろう。三十種以上のモルトで作られたブレンデッド・ウィスキーみたいなものだろうか。
多くの人は手元を見て俯いている。
二十四時間のうちの目を開いている間、僕は常にシャッターを切っている。
だからもし、いつでも手にしているこのカメラが無くっても僕の目は切り取っている。
目の前の景色は常にシャッターチャンスの連続だ。
ドラマは僕の中で流れていて、足早に歩く人も俯き加減に項垂れる人もそのすべてがドラマチックだ。
そんなことを考えていると、待ち人が来るまでの間、僕は俯かずに前を見ることができる。