花の意

2013 0305 konica 3a kentmere 400 d76 006


虫は人間と見える色が違うらしい。
紫外線を可視光線としている虫達には、紅や緋に見える梅の花も藍や紫に見えているというから不思議だ。
フィルムという感光材も紫外線を感光するから、その為の紫外線カットフィルターといった道具が必要になる場合がある。

だとしたら僕たちが普段見ている花の色は本当は何色なんだろう。
本当は何色に見せたいのだろう。
試しに色を消してみよう。

目の前に広がる光景を、モノクロの目で見るということはさほど難しいことではないと思う。
例えば普段から楽器、仮にフルートでも吹くことができるとしたら次第にいくつもの音が重なるオーケストラの中からフルートの音だけを明確に聞き分けることができるはずだ。
それと同じ要領でやれば比較的簡単に世界はモノクロに見えてくる。

モノクロで写した花の美しさはどの辺りにあるんだろう。

花はその存在を知らせる為に造形にも工夫を凝らしているに違いない。
でも僕たちがみる花と虫達がみる花と、形は同じでもその色に違いがあるとしたら、むしろ花の美は形にこそ重きが置かれていると考えるのが自然ではないのか。

ならば美しい花々を白と黒のグラデーションで感じるのは、花の意に沿っているのかもしれない。