カセットテープ

2013 0305 konica 3a fuji neopan presto 400 spd 037

部屋の掃除をしていると昔の写真が出てくる。そしてそれを懐かしそうに見つめる。
フジカラーと書かれた緑色の紙の封筒には二十枚ほどのプリントが入っていた。
人物一人一人のバストアップ写真。四人の若者の集合写真。
変な顔の写真そして楽器をもって格好つける写真。
それが十代の頃に撮ったものだということは、自分の写真を見つけてすぐにわかった。
キャラメル色に近いサラサラした髪の毛をマッシュルーム風にまとめている。
緑色のニューバランス。これはとても気に入っていたスニーカーの一つ。
嬉しそうに構えたプレシジョンベースは今は人に貸したままになっている。

そんな回想が一瞬で頭の中を駆け巡った。

確かこのプリントをコピー機でコピーして、それを切りぬいてチラシにしたり、自分たちの演奏を収めたカセットテープのジャケットにして配ったりしたっけな。

そのカセットテープは確か五十本、いや百本くらいは作ったような気がする。
そのうちの一本はきっと我が家のどこかにあって、いつかそのコピーの切り抜きに色鉛筆で着色したお世辞にも綺麗とは言えないジャケットを見て、今と同じように苦笑いをするに違いない。

演奏はたぶんもう聞くこともないと思うけれど、その時いつも一番最後に演奏したあの曲は思いだそうとすればすぐに思いだすことができるんだ。